デンマークが、第一次世界大戦の影響で海上封鎖され、外国から食料が輸入できなくなり、自給自足体制をとらざるを得なくなったことがある。
その時、ヒントヘーデという栄養学者は、自分が試した食事のパターンの中で、菜食中心の食事が理想であるといって、家族にも菜食をさせた。
このヒントヘーデが食料大臣のような立場になった時、多くの穀物を与えなければならない家畜を抹殺してしまった。その結果、第一次世界大戦の年と次の年の二年間は、死亡率がグンとへって、病人も少なくなり、国民の健康状態が非常に良くなった、という事実がある。
反対にドイツの場合は、ルブナーという現代栄養学の元祖というべき栄養学者が、野菜ばかり食べていると戦争に負けてしまう、と言い、スタミナをつけるためには動物の肉をどんどん食べるべきだ、と肉食を奨励した。その結果、病人は急激に増え、死亡者も多数に及び、結局、戦争にも負けてしまったのである。
このためドイツの中には、戦争に敗れたのは兵隊が弱かったからではなく、ルブナーが野菜を家畜に与えて、人間にその家畜の肉を食べさせたことにある、と批判した人がいたという史実がある。